2026.02.04
温泉と歌人
日本では温泉が古くから愛されています。日本各地の温泉地では、様々な歌人が歌を詠んでいます。
今回は、そんな「温泉と歌人」について取り上げたいと思います。
ブログ投稿者が今まで訪れた温泉地で、歌人の歌が掲示されていて写真を撮ったものを、三歌人分ご紹介します。たまたまかもしれませんが、全て群馬県の温泉地でした。また、温泉を愛した歌人として有名な方もあわせてご紹介します。
①伊香保温泉—万葉歌碑(作者不詳)
「上毛野 伊香保の沼に 植え子水葱 かく恋ひむとや 種求めけん」

こちらは伊香保温泉の飲泉所近くにある万葉歌碑です。現代語訳も書いてあります。「上毛野の伊香保の沼に植えた子水葱の成長がこんなに待ち遠しくてたまらないものなら、いっそのこと子水葱など植えるのではなかった、という心にかけて、今の苦しみのもとになっている恋い焦れの種など、始めから求めるのではなかった…なんと苦しいことだろう。」と書いてありました。
水葱は「ナギ」と読み、現在は水田雑草ですが、万葉時代は栽培もされていたそうで、ネギに似た味がするためにこの名前がついたそうです。その水葱の成長を待ち遠しく思う気持ちと恋焦がれる気持ちをかけているのですね。和歌はこのように、なにかと恋心をかけて詠むことが多いので、とても興味深いです。
②水上温泉—柳原白蓮
「木下いく 細谷川は 大利根の 神代なりけり 水上の里」
「くすしくも 童児ふたりが もてる玉 とけてながるる 水晶のいでゆ」←くずし字をなんとか解読したので、間違っていたらすみません。

柳原白蓮は、大正時代を代表する女流歌人です。水上温泉や法師温泉に滞在しました。旧水上館(現在の坐山みなかみ様)にも訪れ、たくさんの歌を残しています。水上温泉は目の前に利根川が流れているので、「木下いく」の歌は川のことを詠んだ歌だと思われます。「くすしくも」の歌は、水上館水晶の湯の由来となった水晶をもつ童子像を詠んでいるそうです。

坐山みなかみ様には、水晶の湯のほかに牧水の湯もあります。これは、若山牧水にちなんだお風呂です。
若山牧水は、『水上紀行』を記す道すがら、旅の疲れを癒すために旧水上館に訪れたそうです。若山牧水は、群馬県でいうと他にも谷川温泉、法師温泉、沢渡温泉、草津温泉などに訪れています。また、土肥温泉(静岡県)、白骨温泉(長野県)にも訪れ、土肥温泉では10日で40首近く歌を詠んだそうです。
③万座温泉—種田山頭火
「水音がねむらせない おもひでがそれからそれへ」
「更けてもうもうと わきあがるもののしじま」

種田山頭火は、戦前日本の自由律俳句の最も著名な俳人です。万座温泉日進館様に宿泊し、上記のような自由律俳句を詠んでいます。日記にも「ぐんぐん湧きあがる熱湯が堪へて溢れる湯けむりを見よ」「万座よいとこ、水があふれて湯があふれて」と書き記しているようです。
それぞれの関連リンクはこちらです↓
伊香保温泉飲泉所|美容健康に効果抜群!飲んで入って温泉を堪能!
群馬県 水上温泉 坐山 みなかみ【公式サイト】谷川岳の麓で水上時間を堪能
万座温泉日進舘(公式ホームページ)・・・乳白色の湯、木の湯船、標高1,800m万座温泉の老舗。
参考文献↓
【おまけ】
温泉を愛した歌人として「与謝野晶子」もよく知られています。与謝野晶子は、100以上の温泉地を訪れています。有名なのは新潟県の瀬波温泉で、滞在2日間で45首もの歌を詠んだとされています。静岡県の熱海温泉には27回以上訪れています。山形県のあつみ温泉には、夫・鉄幹を亡くした後、心を癒すために訪れたそうです。他にも、栃木県の塩原温泉、群馬県では水上温泉、猿ヶ京温泉、法師温泉などに訪れ、たくさんの歌を詠んでいます。
